「15万円のゲーミングPC」について、勘違いしてませんか?
ゲーミングPCが世間に普及してきて、最近では様々な意見や憶測が飛び交っています。今回はその中の1つ、「ゲーミングPCは15万円で大丈夫」という意見について確認していきます。
この記事では、15万円前後のゲーミングPCがどういったものか、どのような勘違いをさせているかについて解説していきます。詳しく知らず、「ゲーミングPCを買った後に後悔したくない」「今まさに悩んでいる」という方などは、是非参考にしてみてください。
「15万円のPCで大丈夫」という意見
昨今では、「ゲーミングPCは、15万円前後のもので大丈夫!」という1つの意見が、様々な人に混乱や後悔を与えています。
内容としては、「15万円前後の予算で充分な性能を持つゲーミングPCが入手可能であり、高価なハードウェアを購入する必要はない」と主張しています。15万円のPCは、多くのゲームを十分にプレイできるし、予算内で楽にPCを組むことができるという意見です。
はたしてゲーミングPCを購入する際に、予算を15万円前後に設定してよいのでしょうか。今回は、実際に「15万円前後のPCが、本当に多くの人にとって適切かどうか」について解説していきます。
15万円のゲーミングPCとは?
まず15万円のゲーミングPCが、どのようなものかについて一度確認していきましょう。
ゲーミングPCは大体安くて10万円前後、高いものであると100万円を超えてきます。ただ実際そこまでの高スペックPCが必要な場面は少なく、市場では10~50万円程度まで扱っているサイトが多いです。
ゲーミングPCのボリュームゾーンは、当サイトの広告集計で大体20万円弱から25万円前後が人気です。その為15万円のゲーミングPCというのは、人気の価格帯よりも少し安めのPCに値します。
過去の15万円PCは今どうか
過去の15万円PCの、現在の実態を知っていますか?過去の15万円PCの今は、2023年の次世代パーツ販売後、型落ち気味になっています。
一代前の15万円PCの構成と言えば、『Core i5 12400(F)』&『Geforce RTX 3060』が鉄板です。次点で『Ryzen 5 5600X』&『Geforce RTX 3060』が挙げられるでしょう。
これらの構成のPCは現在、新規ゲームにおいてのスペック不足、上位パーツの登場で市場販売数の低下が少しずつ見られています。
ゲームでのスペック不足
2023年にリリースされた流行PCゲームや期待のゲームの一部は、前世代の15万円PCだとスペック不足や、十分なパフォーマンスが出せない場合があります。
「Twitch(配信サイト)」や、「Steam(PCゲームのマルチプラットフォーム)」から人気タイトルの一例を挙げると、「ホグワーツ・レガシー」「Dark and Darker」などが挙げられるでしょう。これらのような昨今の人気ゲームの最高動作環境や推奨スペックは、過去の15万円PC以上の性能を求めていることが増えてきています。またその条件に沿っていても、「フレームレートが出ない」「画質設定が低い」など、快適なプレイ環境ではない場合も多いです。
ゲーム体験において快適なプレイ環境は重要です。特に人気の「シューティングゲーム(FPS)」「アドベンチャーゲーム」など一部のジャンルでは、よりその重要度が増します。画質の悪い映画で感動が薄れたり、フレームレートが低くて狙いにくいなどは、経験のある人なら確実に理解出来るでしょう。
ゲームはこれからどんどん進化する
PCゲームの進化で影響を受けそうな一例としては、ゲームの開発エンジンとして使われる次世代型3DCGツール「UE5(Unreal Engine5)」が挙げられます。2022年4月よりリリースされた「Unreal Engine 5」は、現実と判断がつかないような、これまでより高品質なグラフィック表現を可能としました。しかし、より綺麗なグラフィックは、その分PCに高い処理性能を要求します。
ゲーム開発には年単位で期間が必要です。その為まだ「UE5」のゲームはそこまで大きな話題になっていませんが、数年後には「UE5」の高品質なグラフィックのゲームも間違いなく出てくるでしょう。
これから更なるゲームが、「UE5」を基準に開発されていきます。その場合、15万円PCのスペックとゲームの要求性能のギャップは大きくなっていくかもしれません。
長い目で考えると…
先では「UE5」の一例を挙げましたが、このようにPCゲームはますます進化していきます。グラフィックはどんどん綺麗になり、VRゲームなど新規ジャンルも発展するでしょう。一つのPCを長く使いたいのであれば、15万円のPCでは数年後の不安が残るというのが私の意見です。
15万円PCが合うかの判断
ここまで「過去の15万円PCは今どうか」「ゲームでのスペック不足」について話してきました。
では15万円PCが完全に悪なのかというと、そうではありません。私の考えとしては、「人による。おすすめはしない。」です。
「どうして人によるのか」「なぜおすすめしないのか」、勿論これには理由があります。ここでは15万円PCでも良い人の条件について話していきます。
判断条件1
条件の1つ目としては、「どういったゲームをプレイするか」です。
人によってゲームスタイルは違います。様々なゲームをプレイする方もいれば、特定のゲームのみ数年プレイする方もいます。またゲームのジャンルも、「シューティング」「シミュレーション」「ホラー」など、こちらも特定のジャンルのみプレイする方も多いでしょう。自身のゲームスタイルを今一度考えてみましょう。
どういった人が注意すべきか
先の「特定のゲーム」については、今回は簡単に以下のようにまとめました。ゲームジャンルや負荷の傾向、ゲームをしたくなる理由などから、自分に当てはまるかどうか確認してみて下さい。
「グラフィックが好み」「新作対戦ゲームが出た」という理由でゲームをプレイしたくなる人は、15万円PCを買う際注意が必要です。順番に確認していきます。
1.グラフィック
グラフィックに関しては先ほど言った「UE5」の影響で、これから高品質なグラフィックのゲームが多く出てくるでしょう。また、昨今「アニメ調」のグラフィックのゲームが勢いありますが、こちらもグラフィックが軽いわけではありません。アニメ調×大人数マルチプレイなど、負荷の高い組み合わせのゲームが出ると、要求スペックは高くなる可能性があります。
「グラフィックでゲームに興味を持つ」「3Dのグラフィックが綺麗なゲームをメインでプレイする」という方は、15万円PCの購入には注意と理解が必要です。
2.対戦ゲーム
対戦ゲームでは、PCスペックが勝ち関係する場合は多いです。フレームレートが高ければ反応速度は上がりますし、PCの処理速度で不利となる可能性も考えられます。勝ちにこだわる人ほど、PCスペックは高い方が良いでしょう。
また対戦ゲームでは、プレイ人口の多さが「ゲームの楽しさ」に繋がります。これは、マッチの公平性やコミュニティの大きさなどに関係するためです。プレイ人口の多さは、一部タイトルを除き古いゲームより新作ゲームに人が集まりやすいです。新作ゲームを快適にプレイする為には、ある程度のPCスペックが必要なことを理解しておきましょう。
勿論これら条件に合う場合が決して「ダメ」と言っているわけではなく、リスクやメリット・デメリットを理解したうえで買う分には問題ないです。そこは自己判断かと思います。
※一つのゲームタイトルしかプレイしない方については、15万円PCでもそこまで問題はないでしょう。様々なゲームをプレイしないなら、やるゲームさえ快適なら、PC性能の型落ちを考える必要はありません。
判断条件2
条件の2つ目としては、「PCをすぐに買い替えるかどうか」です。
数年後に次世代パーツの販売でスペック差がきつくなっても、すぐその次世代の15万円PCに買い替えるという方です。この場合、少なくとも更なるPCパーツの販売が来る数年後までは型落ちになりません。最新世代のミドルPCが、ゲーム環境についていけないことはほぼ無いでしょうし、スペック的にも問題は出にくいでしょう。
大体どれくらいの期間で買い替えるか
次世代パーツが出るまで大体どれくらいの期間かについて、過去の傾向から確認していきます。ゲーミングPCの性能が大きく変わるのは、新世代のグラフィックボードが発売したタイミングです。その為、新世代グラフィックボード(15万円PCクラス)の発売周期を見ていきます。ここ数年はコロナ禍の影響で、半導体不足や流通制限がありましたが、発売日は以下のようになっていました。
GPU型番 | 発売日 |
---|---|
RTX 2060 | 2019年1月7日 |
RTX 3060 | 2021年2月26日 |
RTX 4060 | 2023年6月29日 |
大体次世代パーツが出るまでの期間としては「約2年」です。
約2年後にPCを買い替える、主要パーツ(CPU,GPU等)をアップグレードするという方は、15万円PCでも比較的問題ない人と言えるでしょう。
後悔しない為のポイント
15万円のゲーミングPCで後悔しない為に、適切なゲーミングPCを選ぶことが重要です。今回の内容を踏まえ、予算内で最良の選択をするために、以下の要点を再確認し検討しましょう。
ゲームスタイルの確認
最初に、自身がどのゲームタイトル、ゲームジャンルをプレイするのかを考えましょう。グラフィックにこだわるのか、対戦ゲームに重点を置くのか、または他のジャンルに興味があるのか。ゲームのプレイスタイルやどこに魅力を感じるか、今一度見つめ直しましょう。
PCの性能と将来性の評価
自分のゲームスタイルにどの程度のPCスペックが必要か、将来どのようにゲームが進化するか、またその時の必要なPCスペックを予測し、15万円のゲーミングPCが自分に合うか考えましょう。
これにより、「新作ゲーム」や「新たに興味が出たゲーム」で快適にプレイ環境を構築しやすくなります。また、これは次の「アップグレードと予算管理」についても関係してきます。
アップグレードと予算管理の必要性
長い目で見て、ゲーム体験のための「PCのアップグレードをどうするか」を計画が重要です。新しいゲームがリリースされたとき、PCの性能が不足する場合の買い替えをどうするのかについて考えましょう。またゲーミングPC以外にも、デバイスや周辺機器などのPC環境を考慮した、予算管理が必要となります。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は「15万円のPCで大丈夫」か?という意見について確認してきました。
ゲーミングPCに悩む時間を遊ぶ時間に使った方が有意義かなと思いますので、この記事で悩む時間を短縮できれば幸いです。ゲーミングPCを購入する際の判断材料になったなら嬉しく思います。